私の地元、長和町の豊受大神宮では毎年1月14日、15日に「おたや祭り」と呼ばれるお祭りが行われます。寒さが厳しい長野県で真冬にお祭りは珍しいのですが、小さいころからずっと行き続けており、近隣の市町村からもたくさんの参拝客が訪れるお祭りです。小さい頃は親や兄弟と一緒に14日の夜に行くのが通例だったのですが、やはり大きくなってくると、友達と夜出歩けるという田舎には珍しいイベントでした。そのため中学に上がって、友人とお祭りに行く約束はなんだか大人になった気がして嬉しかったものです。中学3年の冬に友人たちとおたや祭りへ行く約束をしました。受験が終わればみんな別の高校へ進学することに。受験前の最後の息抜きのつもりでした。お祭りには食べ物の出店やだるまの販売、当時は翌日の15日が成人の日で祝日だったので、14日の夜の人出は本当にすごかった覚えがあります。神社の参道は行列ができていて、以前に降った雪のせいでつるつるの道。天気はよかったですが放射冷却でとにかく寒かった。ようやく順番が来て神社にお賽銭を入れて参拝。当然友人たちとのお願いは「高校受かりますように!」でした。参拝の後は必ず「山車」と呼ばれる藁や布で作られた農民工芸を見ます。子供にとってはそれほど興味のあるものではないのですが、一種の参拝の儀式のようなもので、全部で5か所ある山車をすべて見て、それが終わってからようやく露店の食べ物を買い食いしました。それほど広くないお祭りの会場ですが、ずっと友人と喋っていたくて何往復もした記憶があります。(立ち止ると寒いので)ようやく9時ころにお別れして親に迎えに来てもらいました。その日は気温がなんとマイナス14度。すごく寒かったのですが、その後の夜空の星がとにかく奇麗でした。その時田舎はいい所だと、初めて思った気がします。
上野晴 (30代女性) 1998年1月14日