安楽寺

カーナビアプリは当てになるのか?

吉見観音には、車で行きました。というより、車がないと行けません。我が家の車にはカーナビを搭載していないので、夫のスマホのカーナビアプリを使って目的地へ向かうことにしました。
自宅から吉見へ行くには、所沢インターから東松山インターまで関越道を使うか、そうでなければ国道254号と国道407号を使うものだと思っていました。ところがカーナビが指示した道というのは、およそ車道とはいえないような、川沿いの細い道だったのです。国道もその周辺の道も渋滞していたからです。助手席にいた私は不安になって、運転していた夫に聞きました。
「本当にこの道で合ってるの?」
「うん」
結果的にカーナビの指示は間違っていませんでした。でも、もし私が運転していたら、多少混んでいてももっと走りやすい道を選んでいたと思います。

 

仁王門

お寺の駐車場に車を止めて、参道を歩いて吉見観音の仁王門へ向かいました。参道沿いには売店が1軒あるほか、民家が点在しているだけです。門前町というには程遠いですが、それでも参道の両側に石像が何体かあったので、お寺が近いことがうかがえました。
参道の突き当たりには石段があり、そこを上れば仁王門に着きます。鄙びた雰囲気の門です。現在の仁王門は元禄15(1702)年に建てられたもので、内部に仁王像2体を安置しています。
仁王門から眺めてみた境内は、割と整然とした感じでした。

 

本堂

仁王門から本堂へ向かって歩くと、途中に石段があります。そこを上ると本堂に着きます。本堂から仁王門の方向を眺めてみると、随分高いところに来たなあ、と実感します。吉見観音の境内は、高低差がかなりあります。所在地の吉見町は埼玉県のほぼ中央部にありますが、てっきり平地だと思っていたので、意外な発見でした。
本堂は仁王門より古く、寛文元(1661)年に再建されたものです。こちらも古い木造建築ならではのひなびた味わいがあります。お決まりではありますが、本堂ではお賽銭をあげて、観音様とご縁を結んできました。

 

三重塔

仁王門から本堂に向かって右手には、三重塔があります。こちらは本堂よりもさらに古く、寛永年間(17世紀前半)に建てられました。関東地方で現存する、数少ない江戸時代初期の塔です。吉見観音の見どころの一つといってよいでしょう。
この塔を見て、石川県にある妙成寺の五重塔を思い出しました。どちらも江戸時代初期に建てられています。でも雰囲気が全く異なるように感じられました。妙成寺五重塔を「洗練」「品格」といった言葉で表すとするならば、安楽寺三重塔は素朴でひなびた印象を受けます。

 

八起地蔵尊

三重塔を見た後は、本堂の裏手に回って石段を上り、鐘楼と八起地蔵尊に行ってみました。ところが八起地蔵尊は古さや素朴さが感じられず、誰かの発願により新しく建立されたような印象を受けました。鐘楼もごくありふれた感じです。
とはいえ八起地蔵尊や鐘楼は本堂よりさらに高いところにあるので、安楽寺全体が丘陵の斜面を利用して建てられていることや、境内の高低差が大きいことが、行ってみてよくわかりました。
参拝を終えた後は、10番札所 巌殿山正法寺 巌殿観音へ向かうことにしました。


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