次に目についたのは、一幡之君袖塚です。周囲を竹垣で囲ってあり、その中に供養塔や卒塔婆、石碑などがありました。比企の乱でわずか6歳の命を終えた一幡之君の小袖を、800年以上たった今でも丁寧に供養している様子には、ただ感服させられるばかりです。
奥の方に目をやると、比企一族の墓があります。しかしながら天気が悪く、足元の状態も悪かったので、あまり近くには寄れず、少し遠くから眺めるだけになってしまいました。墓のすぐ後ろは急な斜面になっていて、墓石や供養塔の一部に苔が生えていたり、風化していたりで供養や維持が大変そうに見えます。それでも比企一族の墓には一種独特の存在感がありました。強く存在を主張するというよりも、むしろ細く長く、静かにお寺の歴史を見守っているような感じです。
その後祖師堂に着きました。古く大きな木造の建物は、日蓮聖人を祀っているだけあって、風格や威厳が感じられます。「妙本寺に来たからには、祖師堂に寄らないと罰が当たる」と参拝者に思わせるような雰囲気がありました。
同時に、小雨に濡れた祖師堂はしっとりとした趣を醸し出していました。他の参拝者が祖師堂の軒下で会話している様子も、なかなか微笑ましい光景です。一種のアクセントのような感じがしました。
個人的には、祖師堂と比企一族の墓、一幡之君袖塚、二天門のあたりが、妙本寺の一番の見どころではないかと思います。
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