光明寺

1. 見どころがたくさんありそう

鎌倉駅からバスに乗り、光明寺の停留所でバスを降りると、近くにある総門へ向かいました。現在の総門は江戸時代に再建されたもので、それほど大きくありませんが、古い木造建築ならではの趣が感じられます。
総門をくぐって参道を少し進むと、山門があります。二階建ての壮麗な山門は、お寺の格式の高さを象徴しているような感じがしました。山門の2階からの眺めはきっと素晴らしいと思います。でも山門の拝観には20名以上の団体での予約が必要なので、実現はかなり難しいような気がしました。
山門をくぐると正面には大殿、左側には開山堂、右側には鐘楼や繁栄稲荷社、動物霊堂などがあり、見どころがたくさんあることが一目でわかりました。光明寺の境内は、海に近いためか、鎌倉の他のお寺よりも開放的な雰囲気があります。

 

2. 大殿と記主庭園

次に大殿へ向かいました。大殿の正面入り口で靴を脱いでスリッパに履き替え、中に入って本尊を拝みました。そして周囲の様子を見回すと、1台のピアノが目に留まりました。光明寺では毎週ピアノの演奏会が開かれるそうです。お寺でピアノの演奏とは、なかなかユニークな取り組みだと思います。
大殿の中の様子を一通り見た後は、回廊を開山堂の方へ進んで記主庭園を眺めました。回廊の前に池があって、その向こうに植栽や大聖閣(たいしょうかく)があります。しっとりした感じの植栽の中で、六角形の大聖閣がほどよいアクセントになって、見ていて気持ちが落ち着ける庭園でした。私が行ったときはたまたま開山堂から女性による声明が聞こえていたので、それが庭園に一層の趣を添えたような気もします。

 

3. 三尊五祖の石庭

記主庭園を眺めた後は、回廊を通って大殿に戻り、大殿の正面に向かって右側の回廊から三尊五祖の石庭を見ることにしました。
三尊五祖の石庭は、記主庭園とは違って乾いた感じの趣があります。ところどころに大きな石があって、それが阿弥陀三尊と浄土宗五大祖師を表しているそうです。「こんな表現の方法もあるんだなあ」と、私は石庭を見てただ感心するばかりでした。
しかしながらこの石庭の写真を撮るのは難しかったです。私は三尊五祖の石を1枚の写真に収めようとしましたが、石庭がかなり横長だったのでうまく撮れず、結局2回に分けて全体を撮影しました。
ここで私はスリッパを脱いで靴を履き、大殿を出ることにしました。拝観料を支払わずに建物の中に上がって、立派で趣のある庭園を鑑賞できるお寺は、そうそうないように思います。境内の開放的な雰囲気と相まって、お寺の度量の広さが感じられました。

 

4. 昔と今と

大殿を出た後は延命地蔵、繁栄稲荷社、鐘楼堂、動物霊堂などを見て回りました。
延命地蔵は、どっしりと座った形が珍しいと思いました。座った地蔵像というのは、あまり見たことがないような気がします。地蔵には色とりどりの花や千羽鶴などが供えてあって、古くて傷みがありながらも大切にされている様子がわかります。延命地蔵の周辺には、さまざまな時代にさまざまな理由で建てられた石碑があり、光明寺が庶民に親しまれていた様子がうかがえました。
繁栄稲荷社は小ぢんまりとしていながらも、歴史の古さを感じさせる雰囲気があります。また江戸時代に建てられた鐘楼堂は、山門や大殿とは違った形の存在感がありました。
一方動物霊堂は、ペットの名前が書かれた卒塔婆がずらりと並んでいて、ある意味で現代的な光景を見せているといえます。動物を供養するお寺は少なくないので、今やペットは家族の一員であり、死後には人間と同じように供養するのが当たり前になっているといえそうです。

 

5. 廟所と墓所

最後に大殿裏の天照山へ向かい、開山良忠上人廟所と内藤家墓所へ行くことにしました。
廟所は天照山の中腹にあるので、大殿の横から山道を登っていきます。案内に従って進んでいくと、細い道の奥に廟所がありました。廟所には多数の卵塔が並んでいて、一種の威厳と迫力があります。一歩足を踏み入れると身が引き締まるような空気が感じられ、うっかり軽率な振る舞いができないような気がしました。
廟所へ行った後は山道を下っていったん大殿に戻り、廟所とは逆の方向へ進んで内藤家墓所へ向かいました。内藤家墓所には100以上の石塔があり、大きさや形もさまざまです。出入り口が施錠されていて中に入ることはできませんでしたが、外から全体を見渡せました。曇った天気の中で、古くなって黒ずんだ石塔がたくさん並んでいる様子は、どこか不気味な感じです。
内藤家墓所を拝観した後、光明寺をおいとますることにしました。全体を振り返ってみると、開放感があって見どころも満載で、他にない個性や魅力を備えたお寺だったと思います。

 

 

Lisa Aoki Dec 2016


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