遍路 四国八十八ヶ所巡礼 体験記

日本の社会には“並んで順番に待つ”という、世界に誇れる文化があります。
しかし、優先順位というものもあります。

 

“歩き遍路”の方には、納経の優先順位を差し上げてもよいと思うのです。
車と歩きでは、あまりにも肉体的疲労度が違います。
車ならば5分10分の短縮は距離があればどうとでもなりますし、夜でも疲れていても移動ができます。
しかし、1100qとも1400qとも言われる遍路道を歩き続けるお遍路さんは、時間の短縮ができるわけでも、体力の限界では歩みを進められるわけでもないのですから。

 

民宿のおばあちゃんが「歩き遍路は山中で日が暮れてしまうと、真っ暗闇では下山できないので野宿をしなければいけない。行程中で1度や2度は必ずある修行だから、寝袋は必ず持って行きなさいと言うんだよ。」とおっしゃっていました。

 

本人が望んで歩き遍路をしていると言われればそれまでですが、当事者ではない私がそれを見て何を思うのかも修練であり、学びなのだろうと思います。


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13.“優先順位”があってしかるべきかと関連ページ

1.朝日を浴びて
“三十二番札所 禅師峰寺”の見上げる石段もなんのその、朝一のお寺をお参りし・・・遍路 四国八十八ヶ所巡礼の沙依さんの巡礼記3日目。
2.神々しい光景
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3.お線香3本の意味
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何回巡礼すれば納経帳の小口が朱色に染まるのか、「凄い」を通り越して言葉がありません。 遍路 四国八十八ヶ所巡礼の沙依さんの巡礼記3日目。
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6.思い出すのは栗拾い
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8.今度行ったり来たりするのは 思考
“足摺岬”に向かって国道56号線を走ります。移動距離が長いと、いろいろなことを考えます。 遍路 四国八十八ヶ所巡礼の沙依さんの巡礼記3日目。
9.足摺岬の思い出
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10.海で泳ぐ?波にたたきつけられた海水浴
瀬戸内海と太平洋では、波の強さ、勢いがあまりにも違ったのです 遍路 四国八十八ヶ所巡礼の沙依さんの巡礼記3日目。
11.ひたすら待つしかない納経所
誰もが早く次のお寺へ向けて出発したいと思っているはずなのに、“待つことも修行の一つ”と文句を言うこともなく静かに並んで待っています。 遍路 四国八十八ヶ所巡礼の沙依さんの巡礼記3日目。
12.千差万別の納経所
日も暮れかけた山深い場所のお寺では、歩き遍路の方はこれから歩いて山を降りるわけですから『先にしてあげればいいのに。』『お先にどうぞと言えないのかしら。』、『歩き遍路の方を優先しても誰も文句は言わないでしょうよ。』と思うことがありました。 遍路 四国八十八ヶ所巡礼の沙依さんの巡礼記3日目。
14.ご住職は見ています
柿色のような法衣に、黄白色の衿巻。若い僧侶には申し訳ないですが、纏っている雰囲気と格が違います。思わず黙礼。遍路 四国八十八ヶ所巡礼の沙依さんの巡礼記3日目。
15.108の煩悩
発心、修行の道場が終わって菩提の道場へと進みますが、はたして悟りの境地に達することが出来るのかどうかというより、108個もある煩悩を断ち切ることが出来るのか… 遍路 四国八十八ヶ所巡礼の沙依さんの巡礼記3日目。
16.煩悩にまみれる
道沿いには“ジャコ天”の看板が立ち並んで私を誘いますが、ジャコ(雑魚)は魚ですから精進料理にはなりません。 遍路 四国八十八ヶ所巡礼の沙依さんの巡礼記3日目。
17.何を想うのか
食欲という煩悩にまみれながら、今晩のメニューは昆布のおむすびに海藻サラダ、わかめの味噌汁です。ジャコ天の代わりに、海鮮尽くしの精進料理風。 遍路 四国八十八ヶ所巡礼の沙依さんの巡礼記3日目。