三佛寺

2008年に出雲大社の60年ぶりの御本殿特別拝観がありました。平成の大遷宮に向けてのものです。次の公開が2068年ということは、これが一生に一度の機会と、飛行機+レンタカーで初めて山陰を訪れました。その際、夫が是非鳥取の三佛寺投入堂にもお詣りしたいというので、私自身は事前の予備知識もないままローシューズ程度の軽装で行きました。 三徳山の入山受付には一人の若い修行僧らしき人がいて、今日はもう入山できなというのです。午後3時少し前の時間です。夏であったため、まだ太陽がギラギラ眩しい時間です。標高は900メートルと聞いていたのでそれ程時間もかからず投入堂まで辿り着けると甘い考えでした。修行僧は、若者とは言え威厳のある感じで「入山可能時刻ギリギリであり、殊にその靴ではとても許可できない、登山中に死亡者もでる厳しい山道である」と静かに言いました。山陰は私の居住地からは遠く、次の機会があるなどと軽くは思えない所であるためかなり残念でしたが諦めざるを得えませんでした。 それから8年が経過し、2016年の6月、やっと三徳山に行く機会に恵まれました。今度は靴も服装も怠りなく準備しました。近くの山に何度も登って体力面の強化もした上でのことです。 山道は事前情報に違わない厳しいものでした。大きな木の根が急峻な山道に網目状に張っていて、その網目の間を一歩一歩足の位置を確認しながら歩みを進め、下は崖になっている巨岩を這って登りました。 国宝の投入堂は平安時代に崖にへばりつくように建築されたものです。信仰に対する当時の人たちの強い気持ちを実感として感じることができ、8年越しの願いが叶ったことにじんわりと喜びを感じました。 下山の際、山道の途中にあった文殊堂、地蔵堂にも立ち寄りました。崖の上にあるこの御堂には手摺も欄干もありません。崖の下の木立を見ながら、天上に招かれたような浮遊感で幸せな旅をさせていただいたと思いました。
コロネ (50代女性) 2017年6月の初旬


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