本妙寺

本妙寺の見どころは、何といっても墓地でしょう。「遠山の金さん」こと遠山金四郎景元の墓、江戸時代後期の剣術家・千葉周作の墓、関宿藩主・久世大和守歴代の墓、本因坊歴代の墓、江戸末期の棋聖・天野宗歩の墓、日本最初の通詞(通訳)・森山多吉の墓など、広い墓地の中にはさまざまな旧跡があります。墓の場所も、案内図などでわかりやすく示されていました。
このうち久世大和守歴代の墓は古くて大きな墓石が何基も並んでいて、大名家の墓所らしい威厳や迫力が感じられました。また天野宗歩の墓は、将棋の駒の形をした墓石がユニークです。
墓地全体としては、古くから続いていて檀家の多いお寺らしい佇まいです。私が行ったときには墓参りの人に加えて、史跡の写真を撮る人もいました。
墓地以外の見どころは、本堂横にある明暦の大火(振袖火事)供養塔や、山門を入ってすぐ左側にある玩具涅槃図の石碑があげられます。明暦の大火供養塔は左側に卵塔、真ん中に石仏、右側に石碑が並んでいて、被害の甚大さを物語るとともに、火事で亡くなった人を供養しようとする心が感じられました。明治時代初期に作られたと伝えられる玩具涅槃図はそれなりに古くなっていて、釈迦が横たわっている姿など大まかなところはわかる一方、細かいところはややわかりにくい感じでした。
ところで墓地には古くて手入れされていない墓も少なからずあり、「墓地関係者様 寺務所までお願いいたします」といった掲示が割と目につきました。こうした掲示に、古くから続いているお寺の悩みが表れているような気がします。
Lisa Aoki Feb 2018