堀之内妙法寺

1.宝塔と山門

杉並区堀ノ内にある妙法寺を知ったきっかけは、JR東日本の初詣のパンフレットでした。最寄り駅は、東京メトロ丸ノ内線の東高円寺。このあたりにはお葬式で一度行ったことがあって、斎場と、お寺や墓地があったことを覚えています。
東高円寺駅を出て青梅街道を西へ少し進み、高円寺陸橋の交差点を左に曲がって環七通りをしばらく歩くと、巨大な石塔が見えます。妙法寺の宝塔です。ここで右に曲がって路地を歩くと、妙法寺に着きます。金色で書かれたひげ文字が特徴的な宝塔は、わかりやすい道標になりました。
妙法寺に着くと、まず古くて立派な山門に圧倒されました。天明7(1787)年に建立されて、東京都の有形文化財に指定されている山門は、二層の楼門です。よく見るといろいろなところに凝った彫刻が施されています。また左右には仁王像が安置されていて、妙法寺の顔ともいえるような風格が感じられました。

 

2.祖師堂・鉄門・額堂

山門をくぐると正面に祖師堂、左手に額堂と手水舎、そして右手には鉄門と鐘楼が見えました。
まず手水舎で手を清めて、祖師堂へお参りしました。祖師堂は境内のほぼ中央に位置する一番大きな建物で、お寺の主といえるような、絶対的な存在感を誇っていました。
次に鉄門へ向かいました。鉄門は英国のコンドル博士の設計による和洋折衷様式の門で、国の重要文化財に指定されています。左右の門柱に漢詩が書かれているので、日本風と西洋風に中国風が加わったような感じがしました。他では見ることのできない個性的な門です。
さて額堂ですが、ベンチが設置されていたので休憩スペースだと思って立ち寄りませんでした。しかしながら後で調べたところ、額堂には巨大な絵馬が奉納されていて、参拝者は自由に鑑賞できるそうです。見ればよかったと後悔しました。

 

3.摩訶不思議な空間

祖師堂や鉄門などを拝観した後は、境内を奥に進んで本堂へ向かいました。
本堂は三軌堂とも称され、祖師堂の右斜め後ろにどっしりと控えています。建物は祖師堂ほど大きくなく、祖師堂のような絢爛さもありませんでしたが、いぶし銀のような存在感がありました。
本堂の次は、石碑や石塔、石灯籠など、古い石造物が点在する空間へ向かいました。ちょうど本堂の真後ろにあたり、摩訶不思議でスピリチュアルな雰囲気が漂っています。個人的には、妙法寺の中ではこの空間が一番面白いと思いました。
大小さまざまな石造物の中には、千部講中石塔、戦没者慰霊碑、髪塚など、目的をもって建てられたものもあれば、そうでないものもあります。その中で目を引いたのは、縦・横・高さとも数十センチくらいの石造物です。小さな石室のような形ですが、祠とは違う感じです。いつ、誰が、何の目的で建てたのだろうか、と疑問に思いました。

 

4.子育観音・有吉佐和子の碑・日朝堂

祖師堂の後ろにある摩訶不思議な空間の先には、子育観音がありました。観音像自体は新しいながらも、境内の奥で子供とともにお寺全体を見守っているような感じがします。
子育観音の近くには、有吉佐和子の碑がありました。新しい花が供えられているところから、有吉氏が今でも人々の心の中に生き続けていることがうかがえます。ずっと前に小説「紀ノ川」「三婆」を読んだことや、舞台「ふるあめりかに袖はぬらさじ」や「華岡青洲の妻」を見たことを思い出しました。
次に向かったのは日朝堂です。本堂より小さく二十三夜堂より大きな建物で、本堂とは渡り廊下で結ばれています。日朝上人が眼病の守護として崇められていることから、参拝しながら「パソコンやスマホの使い過ぎに気を付けよう」と心に決めました。また私が行ったときは受験シーズンの真っ只中で、合格祈願の絵馬がたくさん奉納されていました。

 

5.二十三夜堂と浄行堂

日朝堂の次には、右手にある二十三夜堂へ向かいました。堂の左手前にはポンプ井戸、左右には古い狛犬があって、昔風で懐かしいたたずまいを見せています。私が行ったときは毎月23日の開帳日ではありませんでしたが、堂の右側にたくさんの絵馬が奉納されていました。
二十三夜堂の右手には、浄行堂があります。浄行堂は日朝堂や二十三夜堂よりもずっと小さく簡素な建物ですが、どこかほっとするような感じがあります。堂の脇には千羽鶴が奉納されていて、冬で緑の少ない境内に彩りを添えていました。
さて閉門時間が近付いたので、参拝を切り上げようとして後ろを振り返ると、二十三夜堂の背後が蔵のようなつくりになっていることに気付きました。堂全体が醸し出す懐かしい雰囲気は、こんなところからも出ているのか、と妙に納得させられるものがあります。


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天気も良く、空気が澄んだ冬の境内は静かで、とても気持ちが良かったです。本殿の中に入って受付を済ませると、少しだけ他の方がいらっしゃるのを待って、読み上げが始まりました。