中井御霊神社

神社があるとは知らず

6月のある日、目白大学で研究会があって、その帰りに中井駅へ向かって六の坂と呼ばれる坂道を下りていたときのことです。「中井御霊神社入口」と書かれた石柱が目に留まったので、行ってみることにしました。私は目白大学に何度も足を運んでいますが、大学の近くに神社があることは全く知らず、どんなところなのか興味を持ったのです。
石柱のところで六の坂を右に曲がって少し歩くと、突き当たりに神社があります。
まず目についたのは、鳥居の右側にあるカラフルな絵馬です。絵馬は2017年の干支の酉をあしらったかわいらしいデザインで、目白大学の学生が制作したものです。絵馬の下の解説には、制作にかかわった学生の名前が記されていました。学生にとってはものすごく有意義な経験になったのではないかと思います。大学と地域とのかかわりも見えてくるようです。

 

クロマツと狛犬

鳥居をくぐると、右側に大きなクロマツの木がありました。解説によると、八の坂の下から見上げたときのアイストップ、地域のシンボルとなっているそうです。後で八の坂へ行って、実際の様子を見てみようと思いました。
鳥居の近くには狛犬もあり、拝殿に向かって左側に口を開いた阿形、右側に口を閉じた吽形が配置されています。通常とは逆の配置です。なぜそのようになったのか、理由はともかく、狛犬の配置は中井御霊神社のユニークな点の一つといえるでしょう。
境内全体を見渡してみるとまずまず広く、鳥居をくぐって右側に社務所、左側に神楽殿、そして正面に拝殿があります。拝殿の両脇には境内社があります。かつて落合村中井の鎮守としてそれなりの規模と格式を誇る神社だったということが、一目でわかりました。

 

拝殿にて

拝殿の手前には、区内最古とされる狛犬がありました。鳥居の近くにある狛犬とは別のものです。この狛犬も拝殿に向かって左側に阿形、右側に吽形という、通常とは逆の配置だそうです。でも私が行ったときは夕方6時過ぎで薄暗く、狛犬がフェンスに覆われて保護されていたので、阿形と吽形の違いがよくわかりませんでした。
拝殿に参拝した後、左側に目をやると、テレビ東京の「出没!アド街ック天国」で6月24日に中井の街が紹介されるという案内がありました。私は中井に何度も行ったことがあるにもかかわらず、知らないところがたくさんあります。番組で何が取り上げられるのかはわかりませんが、行ったことのある街が取り上げられるせっかくのチャンスだから、是非とも見たいです。

 

夏越の祓(なごしのはらえ)

中井御霊神社の境内社は、拝殿に向かって右側が三峯社と八雲社、左側が稲荷神社です。この中で不思議に思ったのは、稲荷神社にあったカボチャのような石像です。稲荷神社は農業の神様を祀っていますが、なぜカボチャなのか―考えれば考えるほど不思議です。
このほか境内には、半年間の穢れを清める神事、夏越の祓の案内がありました。この神事を旧暦の6月30日に行ったり、7月1日に行ったりする神社もあるようですが、中井御霊神社ではカレンダーの通り、6月30日の夕刻に行われます。
ところで夏越の祓というと、知人が「なごし」と読むところを間違えて「なつこし」と読んでしまったことを思い出します。間違いは間違いなのですが、これをきっかけに私はどこかの神社の夏越の祓に行ってみたいと思いました。

 

地域のシンボル 

境内を出た後は六の坂へ戻り、坂を下り切ったところで西武新宿線の線路に沿って歩き、八の坂へ向かいました。
中井駅の北側には、一の坂から八の坂まで坂道が順に並んでいます。山手通りに近い方が一の坂で、新井薬師に近い方が八の坂です。六の坂を上ったところに目白大学があるので、私は六の坂と五の坂をよく歩きます。
八の坂へ着いて、坂の上の方を見上げると、確かにクロマツの木が見えました。周辺に遮るものがないので、夕方の薄暗い時間帯でもすぐにわかります。神社の解説にある通り、まさしく地域のシンボルといってよいでしょう。
クロマツを見届けた後は、リニューアルされた中井駅から西武新宿線で帰りました。リニューアル後の中井駅を利用したのは今回が初めてで、改札が地上から地下に移り、上りホームと下りホームをつなぐ階段が撤去されていました。これも神社に次ぐ新たな発見です。