祐天寺

1 駅は知っていても、お寺は知らなかった

祐天寺という駅は知っていても、お寺のことは知らなかった私。中目黒に用事があったついでに、ひと駅足を伸ばして立ち寄ってみることにしました。
祐天寺駅東口2から商店街をしばらく歩き、駒沢通に出ればほどなくお寺に着きます。商店街はごくありふれた感じで、歩いているとどこか安心感があります。駒沢通は恵比寿から続いている通りですが、恵比寿で片側2車線の風景を見慣れているためか、祐天寺のあたりでは片側1車線になっているのが意外な気がしました。
表門に着くと、門の外に掲示している解説に一通り目を通してから中に入り、反時計回りに境内を散策しました。主な見どころは、祐天上人の墓、大正天皇の生母・柳原愛子の墓、鐘楼および梵鐘、海難供養碑、江戸消防ゆかりの石碑などです。
以下、特に目についたもの、印象に残ったことを取り上げていきます。

 

2.要所の紅葉が面白い

個人的に面白いと思ったのは、境内の紅葉です。祐天寺は境内全体で紅葉が見られるというよりも、要所に紅葉があって、それぞれが趣の異なる風景を作り出しているような感じです。ある意味で紅葉の名所といえるでしょう。
鐘楼の脇には立派なモミジの木が生えていて、鐘楼と紅葉、そして青空が作り出す風景は、すっきりした味わいがありました。
本堂の脇には2本のイチョウに挟まれる形でモミジの木があり、イチョウの黄色とモミジの赤が鮮やかなコントラストを形成していました。近くに寄ってみると、サザンカの濃いピンクの花とドウダンツツジの紅葉が見られました。どちらもモミジやイチョウとは違った、一種のかわいらしさがあります。
書院および寺務所の前にもモミジがあります。こちらのモミジは幹がしっかりしていて、枝を四方八方に広げていました。盛りを過ぎてもなお紅葉をたくさんつけている様子には、かなりの迫力を感じました。

 

3.ユニークな石碑

祐天寺には江戸消防ゆかりの石碑、海難供養碑、百万遍供養塔など他ではめったに見られないユニークな石碑がたくさんあります。この点もお寺の個性の一つといえます。
江戸消防ゆかりの石碑には、江戸消防記念碑や並ぶ鳶(とび)三番組碑があります。江戸消防記念碑は本堂の右手前、鳶三番組碑は表門を入ってすぐ左手の史跡散策路にあって、どちらも個性的な形をしています。こうした石碑は、「火事と喧嘩は江戸の華」といわれるほど火災が多かった時代を反映しているようでした。なお本堂の賽銭箱には纏(まとい)が描かれていて、祐天寺と江戸消防とのつながりを現在に伝えています。
海難供養碑には白子組(しろこぐみ)と灘目(なだめ)の2基があります。現代よりも海難がずっと多かった時代に、廻船問屋仲間が遭難者を供養しようという気持ちが、古い石碑から伝わりました。
さて史跡散策路には、鳶三番組碑のほかにも百万遍供養塔や、鋪石(しきいし)成就記念塔など、ユニークな石碑がいくつもあります。散策路は、地味ながらなかなか侮れません。

 

4.墓地

見どころがいろいろある祐天寺の中でひときわ異彩を放っているのが、祐天上人の墓と柳原愛子の墓といえるでしょう。静かで、厳かで、格式や威厳を感じさせるような空間でした。
本堂から左に進み、道路を渡った先が墓地になります。入るとすぐに、巨大な墓石が目につきます。そこから右へ少し進んで左に曲がるとすぐに、柳原愛子の墓に着きます。広い区画の墓からは身分や位の高さが表れていて、新しい花が飾られているところから、現代でも大切にされていることがわかりました。
柳原愛子の墓から少し奥へ進むと、祐天上人の墓があります。広い区画の中央に大きな卵塔が建っているのが特徴的です。祐天上人の墓を取り囲むように歴代住職の墓があり、小さめの卵塔がたくさん並んでいるあたりに、開山者に対する敬意が表れているように思いました。
ところで墓地の入り口にある巨大な墓石の後ろには、古くて首のない石像がたくさん並んでいました。「童子」「童女」という文字が刻まれていたことから子供の墓のようですが、どこか不気味な感じがしました。一体何だったのか、気になるところです。

 

5.安全への配慮

祐天寺の本堂をはじめ、書院、阿弥陀堂、仏舎利殿、地蔵堂などは免震構造になっていて、掲示によると地震の時には地面から最大40−45センチほど動きます。またそれぞれの建物の外周には溝や敷石があり、安全のために「敷石に乗らない」「溝に入らない」といった注意書きもあります。江戸時代から明治時代に造られた木造の建物で、免震構造をはっきりうたっているのは珍しいと思いました。
また本堂正面の賽銭箱へ向かう階段の一部には「注意!石が割れています」と書かれていました。参拝者にとって、こうした配慮はありがたいです。
さらに私が行ったときは、仁王門が改修工事中でした。祐天寺は全体として、建物の安全や維持にものすごく気を配っていることがよくわかりました。この点もお寺の個性や特徴の一つといえそうです。

 


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