一昔前は宿場町として有名だった埼玉県越谷市にある久伊豆神社では秋になると例祭とは別に歴史あるお祭りが斎行される。旧暦の10月のことを別名神無月と呼ぶが、10月末に帰ってきた神様をお迎えしするための祭りである。今まで何度も訪れているが何とも言えず風情のある祭りだと思う。祭典をする理由もさることながら、暗がりの中燃えていく御燎の燃え盛る様が何とも言えず心地よい。年末年始にお焚き上げ自体は大体のお寺や神社でやっているし、参拝者が暖をとれる様に大きく火を焚いているところも少なくない。しかし、ここでは冬の足音がそろそろ聞こえてきそうな旧暦の10月末日にだけ祭として神様の為に灯りを灯しお迎えをする火でもあるなのだ。見ているこちらも目には見えない大神様に対して自然と厳かな気持ちでお迎えしたくなり背筋が伸び、奉仕する神職にも頭が下がる。そんな気持ちにさせてくれる火が燃え尽きるとなんとも言えない気持ちになりながら帰路つく。私にとっては今年もあと少しだなと感じる、そんな祭典です。
モモンガ (20代男性) 2016/11/28