建物は新しくても、歴史は古い
建物は新しいですが、13−15世紀ごろに建てられた青石塔婆(板碑)や、明治時代より前の日付が刻まれたお墓が残っていることから、歴史の古さがうかがえます。建物が新しいのは、水害や火災に何度もあってそのたびに建て替えていたためですが、実際に足を運んでみて「なるほど」と思いました。普段何気なく見ている荒川の堤防の存在意義を、意外なところで改めて実感します。境内は、同じ川口市にあって宗派も同じ真言宗智山派の、錫杖寺や密蔵院と雰囲気が似ているような感じがしました。ちなみに吉祥院のウェブサイトによると、吉祥院は中興開山の際に錫杖寺の末寺になったそうです。どうりで…。さて、このお寺は武州川口七福神の毘沙門天です。気が付くと私は七福神のうち福禄寿(錫杖寺)、大黒天(密蔵院)、寿老人(正眼寺)そして毘沙門天(吉祥院)の4か所に足を運んでいました。各寺には「武州川口七福神」と書かれた幟と、それぞれの神の名前(吉祥院なら「毘沙門天」)が記された幟が掲げられていて、見ていてかっこいいと思います。せっかくなので、残る3か寺(正覚寺[布袋尊]、西光院[弁財天]、傑伝寺[恵比須神])にも近いうちに足を運ぶつもりです。
:2015年8月 お盆の後
総門横に書かれていた言葉に元気をもらった (吉祥院 埼玉県川口市南町)
総門横に書かれていた言葉が心に残っています。「無縁 何でも内々で すますと どんどん ひとりぼっちに なってしまう ご縁を失う」という言葉を読んで、私は身につまされるものを感じました。10年以上続けたサークル活動を7月にやめてから、人づきあいがかなり減ってしまったからです。やめた理由は家庭の都合ですが、失ったものが思った以上に大きかったことを改めて実感しています。それを埋め合わるためにはどうすればよいか―そんなことを考えている折に、吉祥院で「無縁…」という言葉に出会ったのです。これを読んで、元気をもらったような気がします。家庭と折り合いをつけながらサークル活動を再開するか、それとも別の道を歩むかはともかくとして、埋め合わせに向けて進んでみようという気持ちになれました。お寺にいた時間はごくわずかでしたが、行ってよかったです。
2016年11月半ば
あおき・りさ (40代女性)