都会の中の異空間 錫杖寺
川口の錫杖寺といえば、大奥御年寄・瀧山の墓所が真っ先に思いつきます。私はNHKの大河ドラマ「篤姫」で錫杖寺の存在を初めて知り、一度は行ってみたいと思っていて、2015年になってようやく実現しました。錫杖寺は高層マンションや公共施設が立ち並ぶにぎやかなところにありながら、境内に一歩足を踏み入れると、古刹ならではの趣や落ち着きが感じられます。まさしく都会の中の異空間、といった感じです。このような立地条件で落語会や阿字観会(あじかんえ:瞑想修行会)を定期的に行うなど、地域に開かれたお寺を目指しているあたりに好感を持てるとともに、古刹の矜持といったものも感じられました。さて瀧山の墓所は、境内の奥の方にありました。一区画に子孫とともに眠っていて、割と新しい花が供えられていることから、それなりの家柄だったのではないかと勝手に推測してしまいました。それから、本堂正面に向かって左手前にある十三仏の像が、個人的にはよかったです。十三仏は初七日から三十三回忌まで13回の法事に配当した仏のことですが、仏像を眺めるだけでも、知らなかったことについて勉強させていただいたような気分になりました。
By pingpongbooks(40代女性)
時期:2015年3月下旬