鶴ヶ丸八幡神社

鶴ヶ丸八幡神社は、東京外環自動車道と産業道路(県道川口・上尾線)が交差するあたりで、隣のパチンコ店の陰に隠れるようにひっそりと鎮座しています。私はよく周辺を車で通りますが、この神社の存在を知ったのはつい最近でした。それまでは神社に全く気付かず、ただ通り過ぎていただけだったのです。
産業道路からパチンコ店の駐車場を抜けると石段があり、上ると正面に稲荷社、左手に鳥居と参道があります。見たところ参道は結構長く、数十メートルはありそうです。鳥居は一の鳥居から三の鳥居まであって、二の鳥居と三の鳥居は木造でした。こんなところで木造の鳥居とは、珍しいものを見せていただきました。
二の鳥居のそばには、神宮寺という臨済宗のお寺があります。同じ川口市芝にある長徳寺の末寺で、かつて鶴ヶ丸八幡神社の別当寺を務めていたそうです。今では神社はひっそりとしていますが、往時の隆盛ぶりがしのばれるような気がしました。
参道をさらに進んで三の鳥居をくぐると、ようやく拝殿に着きました。拝殿は見るからに古そうな木造の建物で、ところどころに貼られている千社札が歴史を感じさせます。拝殿の奥には、1628年に建てられた本殿が覆屋に納められています。解説板には本殿の建築様式や意匠がこと細かに書かれていて、当時の特色をよく示した建物だといえそうです。幹線道路やパチンコ店が近くにありながらも、本殿と拝殿は周囲の社叢と一体になって、ひたすら静けさを打ち出していました。
普段は車で通り過ぎるだけの場所に神社があって、歴史の古い建物が隠れているとは全く知りませんでした。意外なところで意外なものを発見したような気分です。

 

 

Risa Aoki Sep 2017


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