私の家からは東寺の五重塔が見えます。幼い頃の私に、祖母は「お弘法さんにお参りに行こか。(行こうかの意味)」と言っては、私の手を引いてお参りに行きました。その頃の東寺は観光客の姿など滅多にないような閑散としたお寺でした。小さい子供にとっては、怖い明王さんがぎょうさん(たくさんの意味)いやはる(おられるの意味)暗いお堂はとても強烈な印象があり、祖母が「ゆうこと(言ったことの意味)きかへんかったら、(きかないとの意味)仏さんに怒ってもらう。」と言うと、本当に仏像が飛び出してくるように思えました。今思うと、祖母は何かしらの心配事や悩み事があるたびに、孫の私の手を引いて弘法さんにお参りに行っていたのでしょう。境内には亀の石像(亀さんと言っていました。)があり、自分の体の悪いところや痛いところを撫でては、亀の同じところを撫でて、亀の周りを一周するという、おまじないのような事をしました。明治生まれの祖母がしていたことを、今私も亀の周りを周っているのですから、何とも言えない気がします。
BABAA (50代女性) 祖母との体験は今から年以上前のことです。しかし、今も同じようなことをしています。
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