薬王寺

境内には徳永忠長公の供養塔といった古い石塔がある一方で、さしのべさん(毒消し薬王菩薩)といった新しい石造物もありました。墓地でも風化した古い墓石と真新しい墓石が混在していました。古さと新しさが適度にミックスされたお寺だといえそうです。
特に印象に残ったのは、本堂裏の墓地です。本堂の正面左側の階段を上って、観音像が祀られているお堂を過ぎると、まずやぐらが目につきました。やぐらの中央には大きな石仏があり、古い石仏や石塔がその周囲を取り囲んでいます。中には風化して顔がわからなくなった仏像や、文字が読めなくなった供養塔もありました。その一方で、比較的新しい供養塔もあります。後で調べてみたところ、このやぐらは「久遠廟」という永代供養墓だとわかりました。石やコンクリートでできた建物ではないところがユニークだと思います。
久遠廟の右手には、歴代住職の墓があります。大きな供養塔がある一方で風化して小さくなった卵塔もあり、お寺の歴史の古さがうかがえました。
さらに右手に進むと、巨大な宝篋印塔が2基あります。松山城主・蒲生忠知公の奥方と息女の墓です。高さ約3メートルの石塔は、小高い墓地から境内全体を見下ろしているような感じです。古くなって黒ずんだ宝篋印塔は圧倒的な存在感を誇っていて、不気味な迫力がありました。
なお薬王寺では日蓮聖人の木像が知られているようですが、私が行ったときは見ることができませんでした。

 

Lisa Aoki


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