八雲神社 大町

1. 初めて境内に入る
鎌倉には「八雲神社」と呼ばれる神社が複数ありますが(大町、常盤、山ノ内、西御門)、今回行ったのは大町の八雲神社です。近くに妙本寺、常栄寺(ぼたもち寺)、安養院(坂東三十三観音第三番札所)などがあり、八雲神社の前を通ったことは何度もありました。それにもかかわらず、境内に入るのは初めてです。八雲神社については、神社そのものは小さいながらも、例大祭は盛大に行われると聞きました。
神社に着くとまず、石の鳥居と木々の青葉、そして赤地に白い文字で「厄除け祈願」と書かれた幟が目につきました。実に鮮やかなコントラストです。私が行った日はかなり暑かったですが、境内を囲むように立っている幟の赤に暑苦しさは全く感じられず、むしろさわやかな感じでした。境内は木に囲まれていて、木陰に入るとひんやりして気持ちよかったです。

 

2.意外なところで
鳥居をくぐると、正面に社殿が見えました。樹木の緑と幟の赤に囲まれた中で、社殿の左右に掛けられた白い提灯がひときわ目立ちます。
鳥居から社殿に向かう途中には御神木があり、根元に大きな石が2つありました。京都の祇園社を勧請した新羅三郎義光公の手玉石だそうです。
社殿の手前にある天水盤は、1964年の東京オリンピックの聖火台を鋳造した武州鋳物師・鈴木文吾氏が鋳造したそうです。「武州」と「鋳物」から埼玉県川口市をイメージしますが、現在の川口には、映画「キューポラのある街」に出てくるような昔の面影はほとんどありません。東京のベッドタウンとして、高層マンションが立ち並ぶ街に変貌しています。意外なところで時代の流れを感じました。

 

3.境内社と宝蔵殿
社殿の正面に向かって左横には境内社の諏訪神社・稲荷神社・於岩稲荷社があります。諏訪神社には招き猫、稲荷神社と於岩稲荷社にはキツネの像が納められていました。なぜ諏訪神社に招き猫なのか、理由はよくわかりませんが―。
境内社の左横や後ろには、古い石造りの祠やキツネの像があり、みだりに立ち入ってはいけない聖域のような雰囲気が漂っています。写真を撮るのが憚られたので、境内社の写真は遠くから撮るだけにしておきました。
境内社の左側には、無料で拝観できる宝蔵殿があります。中には江戸時代に作られた神輿をはじめ、境内で出土した土器、桃山時代から江戸時代にかけて使われた薬研(やげん)、堤重(さげじゅう)、燭台、手あぶりといった道具が展示されていました。展示品は外から窓ガラス越しに見ることができます。神輿などを見ていると「お祭りは盛大だ」という評判がわかるような気がしました。

 

4.祇園山ハイキングコースへ
宝蔵殿を拝観した後は、社殿の右側の細い道から祇園山ハイキングコースを歩いてみることにしました。細道を入ってすぐに絵馬の納め所があり、少し先に鳥居が見えました。こちらも境内社で、三峰神社と御嶽神社です。ハイキングコースの入り口に山岳信仰の神様を祀るとは、なかなか粋な取り計らいだと思いました。
ハイキングコースは、境内社の横にある、非常に細い道から本格的にスタートします。あまりにも道が細いのでハイキングコースだとはわからず、他の人が歩いて行ったのを見て、後をついて行きました。
その人は70歳くらいの男性でしたが、急な上り坂で、草がぼうぼうと生い茂っていて、一見すると道ともつかない感じの細道を速いスピードで進んで行きます。他方で私は、急な坂だったことに加えて初めてだったので、ゆっくり歩くのがやっとでした。

 

5.見晴台でひと安心
草ぼうぼうの細道をひたすら上ると、丁字路に差し掛かりました。道標がないので左右のどちらに行こうか迷いましたが、とりあえず右へ行ってみることにしました。
少し進むと行き止まりになっていて、「祇園山見晴台」と書かれた標識がありました。ここでようやくひと安心です。草ぼうぼうでわけのわからない細道を歩いていたときは何かと不安がありましたが、見晴台から海を眺めるとほっとします。
見晴台で一息ついた後は丁字路まで戻り、そこから先はもと来た道を戻らずに直進しました。少し進むと「見晴台」「高時腹切りやぐら」「八雲神社」と書かれた道標があり、私は道標が示す方向に従って八雲神社へ戻ることにしました。
戻ってからハイキングコースの地図を改めて見ると、コースの全体像がやっとつかめました。今回歩いたのはほんの一部だったので、機会があれば、今度はハイキングコースを一通り歩いてみたいです。

 

 

Lisa Aoki Jun 2017


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