日本で社寺仏閣などの保存に関する法律は、美術品/古器旧物保存法(1871年、明治4年)、社寺仏閣/古社寺保存法(1897年、明治30年)から始まります。ちょうど、明治維新の頃、日本と言う国が近代国家と否が応でも肩を並べる事になり、急速に整備されていった感じを受けます。参考までに憲法公布は明治23年(1890年)でした。おそらく、美術品の保存法に関しては開国によって海外に散逸してしまうかも知れないということも考えて先手だと思います。また、神道と仏教の分離に伴う廃仏毀釈により多くの仏閣が被害を受けた事も考慮したいです。古社寺保存法によって、寺社ともに保存されるべきと明言されたのは、日本に長い時間を掛けて根付いた二つの宗教のどちらもが市民生活において切っても切れない関係であること、またこの二つを保存し後世に残す事が、日本と言う国の基礎を未来においても変わらずに保つために必要だったのだと思います。
By Satoko 2016/6