千葉寺

仁王門と鐘楼

京成線千葉寺駅から10分ほど歩いて千葉寺に着くと、まず大網街道に面した仁王門に目を奪われました。古い木造の門で、ところどころに千社札が貼ってあり、いかにも古刹らしい味わいがあります。
仁王門で特に注目したのは、軒下にある彫刻です。竜、獅子、鶴、亀などが彫られています。彫刻はそれほど大きくありませんが、よく見ると実に精巧です。長年の風雪に耐えてきたことにも感心させられました。
仁王門をくぐると右手に鐘楼があります。鐘楼も古い木造で、やはりところどころに千社札があります。4本の柱の上にはそれぞれ獅子が彫られています。
境内の解説によると、仁王門と鐘楼は1828年に建立されたそうです。こうした古い建物や彫刻が、千葉寺の境内を味わい深くしているような印象を受けました。

 

大イチョウ

次に目についたのは、とてつもなく太い幹の大イチョウです。幹が太いだけでなく、低いところから枝葉が盛んに生い茂っていて、幹の一部が垂れ下がったような乳柱もあります。解説によれば、このイチョウは高さ30m、目通り直径8m、樹齢1,300年以上だそうです。
境内に大きなイチョウがある神社やお寺は少なくないし、そうしたイチョウの中には樹齢が500年以上と古く、自治体の天然記念物に指定されているような木もあります。でも千葉寺のイチョウは格が違います。ここまで大きく太いイチョウを、今までに見たことがありません。私が行ったときはまだ葉が緑色でしたが、黄色くなれば境内全体にまた違った味わいと彩りが出てくると思います。

 

本堂と十一面観音

次に本堂へ行きました。現在の本堂は1976年の落成で新しく、仁王門や鐘楼のような趣は残念ながら感じられませんでした。
とはいっても本堂には本尊の十一面観音が納められていて、御手に結ばれた手綱もあります。せっかく来たのだから、手綱を手に取って、観音様との縁を結んできました。
本堂の中で面白いと思ったのは扁額で、表に「海上山」という山号、裏に「三界六道」と書かれていました。どのような意図で「三界六道」と記したのか、知りたいような気がします。戒めの意味なのでしょうか?

 

墓地

本堂で参拝を済ませた後は、境内の墓地に立ち寄ってみました。一見普通の墓地ですが、よく見るとなかなか興味深いものがあります。
まず目についたのは、永代供養墓です。永代供養墓といえば、利用者募集の広告をときどき見かけることがあります。でも実際に見たのは今回が初めてです。大きな石室のような感じがしました。
それから「千葉大学医学部霊堂」と書かれた、やはり石室のような建物もありました。千葉大医学部の地域に密着した側面がうかがえます。
ユニークだったのは、愛犬のお墓です。数基ありました。小さい墓石に犬の名前が刻まれていて、花も供えられていました。死後も家族の一員として大事に扱ってもらえて、愛犬は天国で幸せに過ごしていることでしょう。

 

ほかにも見どころはあるけれど

千葉寺の境内には、古い建物や石碑がところどころにあって、それぞれが味わいとか趣といったものを醸し出しています。本堂の新しさによる味気なさをカバーしているといってもよいでしょう。
でも、それが何の建物や石碑なのかがさっぱりわかりません。境内の解説には「境内には歴史上の記念碑も多く、本市の歴史上重要なところです」と書いてあるだけです。境内の案内図や解説がもっと充実しているといいな、と思いました。そうすれば十一面観音や大イチョウ、仁王門、鐘楼以外の見どころがわかりやすくなって、千葉寺の良さをもっと味わえるようになると思います。