近所には赤い鳥居が目立つ稲荷神社があります。小学生の頃は、よく遊び場にしていました。というのも、わたしは転校生でクラスに馴染めず独りぼっち。一緒に遊ぶ友達はおらず、妹と神社で遊ぶのが日課になっていたのです。小さな神社なので滅多に人は来ません。騒ぐのでもなく、ただ境内に座り夕方までじっとしている。誰にも邪魔されない空間。ここなら誰も嫌なことはしない。そう思うと安心できました。狛犬に勝手に「マリ」と「マキ」という名前までつけて、通るたびに挨拶をしていたのを覚えています。中学生になってからも、それは続きました。学校から帰ってくると、狛犬の元に駆け寄り抱きつく。ひんやりした感触が気持ち良かったです。社会に出るようになってから、神社に行く回数は減りました。ですが、たまに夢を見ます。赤い鳥居の神社に参拝する夢。たまに小銭を握りしめて手を合わせに行きます。相変わらず人は少ないですが、わたしの心を癒やしてくれる大切な場所です。
アキノ (20代女性) 2002年の冬から現在にかけて