午前11時、私は大栄寺の山門に到着した。「ボーン、ボーン」と撞かれる重厚な鐘の音、森の緑と鮮やかな朱色の山門のコントラスト。大栄寺は、禅の修行の奥深さを外観から物語っている。日中諷経で修行僧たちが次々に唱えるお経からは、慈愛と達観の精神を感じ、私も思わず合掌しながら聞き入った。中でも読経中の修行僧の作法は始めて見たし印象的だった。姿勢良く経本台を持って来る姿、頭を床につけて掌を少し上げる礼など、書物では読んだことがあったが実際に見てみるととても美しくて心を打たれた。20代前半の若者が、娑婆を離れて禅僧となるべく日々厳しい修行に打ち込むことは決して楽なことではないはずだ。読経する姿から、自我と煩悩の間に芽生える悟りを感じるべく修行に励んでいるように感じ、神々しさえ思えた。何か悩んでいる人がいたら、ぜひ大栄寺の日中諷経を聞きに行ってほしい。修行僧たちの姿から何か感じ取ることができるはずだ。
By ふーみん (20代女性)
経験・体験の時期:2015年10月中旬