春日神社 大軽町

万葉の歌に呼ばれ 春日神社 大軽町

柿本人麻呂の泣血哀慟歌、現在は大軽町となった歌に詠まれたその土地へ訪れる機会を幸運にも得た。丸山古墳、植山古墳などを遠目に見ながら、畦道を歩き、かの歌人がかつて人知れず通った場所に自分がいることに不思議な感慨に耽った。橿原神宮前駅に戻る途中、こんもりと木の繁った丘に登る小道を見つけ、引かれるように登っていた。変な話だが引き寄せられたとしか言いようがない。鬱蒼とした木立の中の鳥居をくぐると横長のお社が慎ましく佇んでおり、そこだけ開けて空が見えた。小さな境内の隅に万葉歌碑が立ててあり、作者不詳のその歌は大軽町に興味を持つきっかけとなった歌と同じ枕言葉で始まっていた。お社に、ここまで呼んでくれた事を感謝せずにはいられず、お作法も忘れ何度もお辞儀をしてしまった。ひとけのない小道を下りながら、土地の持つ人を引き付ける力を初めて身を持って感じた。
By アリカワサトコ30代女性
時期:2012年11月6日


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