不自由な体での参拝。霊場岩屋寺
私は、49歳の時、突然脳梗塞を患い、幸運にも命は取り留めましたが、左半身麻痺の後遺障害を持つ身となりました。リハビリで杖歩行ができるようになり、また、車の運転も可能となりました。脳梗塞発症後数年は自宅で療養生活でしたが、53歳の時、家内とともに、車を使って四国88ケ寺参りのお遍路に出ました。歩き遍路とは異なり、ドライブ遍路ですから、札所と札所の間は比較的短時間に楽に移動できます。札所の駐車場から境内までは自分の足での歩行が原則です。しかし、多くの札所では、予め寺院事務所に電話を入れて身体不自由の事情を説明しますと、本堂近く、または寺坊のすぐ近くまでのいわば寺院専用道路を教えて下さり、乗り入れてくるように許可をくださいますので、思いの外、楽に参拝できるのです。そういう中で、一番苦労をしたのが、愛媛県の久万高原町にある45番霊場海岸山岩屋寺です。この札所は、国道横の駐車場から境内まで、人しか通れないような参道が延々と続いているのです。自動車でのルートはありません。登り口から、境内まで健常者で20〜30分かかるきつい道のりです。私は家内の手を借りながら、なるべく自分の杖を使い、喘ぎ喘ぎ約90分かけて登りました。境内に到着しても、杉木立に囲まれた処で、景色が開ける訳ではありません。岩山にへばり付くように寺坊や本堂・太子堂が建っています。手水場では清らかな水が石垣から流れ落ちています。私は思わずその水で手と口をすすぐときに一口、ふた口と飲んでいました。初夏の頃で、汗の吹き出た体に染み入るような水でした。甘露とはこのことだろうと思いました。境内には本堂の右手に岩山にかかった太い木の梯子があり、私は梯子を登れませんが、登ると、弘法大師が修行した岩穴があるということでした。健常な体ならなんとしても登ってみたいと思いましたが、俺は諦めざるをえませんでした。納経所の人に聞くともっと上に登ると大師修行の場所がもっとあるそうでした。参拝と納経を終え、帰路は下りですから、多少楽ですがそれでも約60分かかりました。とても印象に残るお参りでした。
By 一福60代男性
時期:平成19年6月
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