私が通っていた幼稚園は仏教系の幼稚園でした。教室に飾られていたのも御仏様。習う唄も全てでは無かったけれど御釈迦様のお唄。入園の日には一人一人子供用の数珠を貰い、帰りの挨拶は「先生さよなら、皆さんさよなら、御仏様さよなら。」でした。そんな環境に何の違和感も疑問を持たなかったのは近所の幼馴染達が皆、同じ幼稚園だったからでしょう。そしてそんな仏教系の幼稚園に通っていたからこそ楽しみにしていた行事が花まつりでした。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、花まつりは御釈迦様の誕生日。小さな御釈迦様の像に甘茶を掛けてお祝いする為にどこのお寺さんでもこの日は甘茶と御釈迦様の像が置いてあります。もちろんその日は幼稚園でもやるのですが、家に帰ってから公園に補助輪付きの自転車やらで集合です。昭和50年代後半とはいえまだまだ今ほどお菓子や甘い物が頻繁にある訳では無かったので甘いお茶がいっぱい飲める!と子供ながらにウキウキワクワク。先ずは萬福寺へ。街中のこじんまりしたお寺だった記憶がありますがお寺の前にはお地蔵様があり、受験前には通る度手を合わしてました。運の良い時にはご住職が子供達が御釈迦様に甘茶を掛けに来たのが嬉しかったのかお菓子をいただいた事も。一息ついたら今度は和光寺へ。こちらは広いお寺で阿弥陀池という池には亀が居て街中で育った子供には亀すら珍しく良く見に行ってました。和光寺は広い境内に御釈迦様の像と長椅子に湯呑と甘茶の入ったポットがあったと思います。御釈迦様に甘茶をかけた後、皆で子供には少し大きめの湯呑を手に長椅子に座り熱めの甘茶をのんびりすする…なんて子供らしく無い、でも動機はとても子供らしい日でした。今は地元を離れましたが、花まつりの日が来ると思い出すのは幼馴染の顔とあのお寺さんです。
花団子 (40代女性) 花まつり