鎌倉・神奈川の古寺・古社巡礼

狭い道を歩きながら

その日は報国寺(竹寺)、浄妙寺と禅寺を続けて参拝した後に、歩いて杉本寺へ向かうことにしました。狭い道を歩きながら、自分が今まで禅寺になじみがなかったことを改めて痛感していました。密教寺院のにぎやかさや、浄土宗の寺院の上品さとは異なる、禅寺ならではの質素さに、カルチャーショックを受けているような感じです。質素さが見どころだといえばその通りなのですが。―そんなことを考えていると、すれ違った自転車とぶつかりそうになりました。鎌倉の道路は狭いです。

 

なんとなく安心

杉本寺の入り口は、車道に面した狭い石段です。石段に一歩足を踏み入れると、狭い道路の危なっかしさから解放され、禅寺の謹厳さとは異なる空気に包まれたので、なんとなく安心できるような感じがしました。石段の両脇には幟がたくさん立てられていて、まるで参拝客を出迎えているようです。少し上がると拝観受付があり、拝観料を支払って、パンフレットをもらいました。ここからまた石段を上って山門(仁王門)、さらに上って観音堂へと続きます。

 

伝統を感じさせる山門

石段を上ると、山門に着きました。山門では運慶作の仁王像が参拝客を迎えています。見た目は怖いながらも、伝統と落ち着きを感じさせます。山門の屋根裏には千社札がたくさん貼ってあって、密教寺院らしい素朴さとにぎやかさがそこはかとなく漂っています。同時に、天平時代に起源をもつ鎌倉最古のお寺というだけあって、禅寺にない古さや伝統といったものも感じられました。さて山門を過ぎても石段はまだまだ続くのですが、途中で通行止めになっていて、左側に迂回して観音堂へ行くようになっています。通行止めになっている区間は老朽化が激しく、見るからに危険そうな感じでした。

 

お寺の中に鳥居?

山門を過ぎて、石段が迂回路に差し掛かる直前に弁財天があります。しかもお寺の中なのに、鳥居もあります。「弁天様って神様じゃなかったかな?」と思いながらも拝んでしまいました。もっともこのように思ったのは、ひとえに自分の知識不足・勉強不足のためですが…。杉本寺の境内には弁財天に加えて熊野権現もあるので、古き良き時代の、一種の大らかさのようなものが感じられます。拝んだ後、左側に迂回して石段をさらに上ると、ようやく観音堂に着きました。

 

観音堂

思えばずいぶん石段を上ったものです。観音堂は見晴らしの良い高台にあり、ここまで来たことで一種の達成感を味わえました。観音堂の周辺は写真撮影が禁止されているので、建物の様子も周りの風景も写真に残しておくことはできませんでしたが、それでも残念だという気持ちにはなりませんでした。観音堂は、伝統の重みや風格とともに、どこか温かみが感じられる建物です。賽銭をあげて、無事に来られたことを感謝して、杉本寺を後にすることにしました。―最後にトイレに寄りましたが、外国人や高齢者に配慮しているのか、洋式で個室は狭すぎず、きちんと掃除してあったところがよかったです。

 

->次は鎌倉宮へ


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